2005年3月31日

 元々私は弁護士になりたいと思っていました。今はゲームクリエイターかモノ書きといった具合ですが、その頃から政治に興味がありました。
 そんなこんなで、法律とか少しかじっていましたが、以前、児童買春・児童ポルノ禁止法改正案※1が国会で審議され、冷や冷やした経験があります。
 ですが、今回は例のメディア規制三法案※2の「人権擁護法案」が可決されようとしている、と騒がれだしました。
 私は昔、児ポ法改正案のときに、恥ずかしながら法案さえ読まずに反対したり、危機感を広めたりという過ちを犯してしまったので、その時の反省を活かして、「感情的にならずに、客観的に見る」を肝に銘じて、この問題に立ち向かおうと思いました。
 ので、早速法務省のHPに飛んで「人権擁護法(案)」を印刷してきました。

 さて、検証して見ましょう。
 と、読んでみましたが、各地で騒がれるほど恐ろしい法律じゃないなという印象を得ました。前の児ポ法改正案で耐性が着いていたのかもしれませんが(笑)
 しかし、見逃すことのできないところも若干あり、このままの状態で可決させるには問題があるとも感じました。ここでは私が感じた問題点を見てやみましょう。

 まず第一に、第二条の「定義」等で、「人権」がはっきりと定義されておらず、他の語句の説明に終始している点。

 次に、第三条第二項で、禁止行為として差別的取り扱いをした場合のみにとどまらず、「助長した場合」や「誘発した場合」も含む点

 第九条で、人権委員の人選理由が曖昧で、さらに「人権問題の専門家を加える」といった条項がなく、「人権侵害」の該当者の意見が伝わりにくい。

 第十三条第一項で、「委員長及び委員は、職務上知ることができた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。」とあるが、裁判員制度のときと同様に、人権委員自身の大きな負担になる可能性がある。また、第三項より、委員長及び常勤の委員は、在任中に営利事業を営めないため、上記の負担がさらに大きくなる可能性がある。

 第四十一条第一項第二号より、「人権侵害を行い、若しくは行うおそれのある者又はこれを助長し、若しくは誘発する行為をする者及びその関係者(次号において「加害者等」という。)に対し、当該行為に関する説示、人権尊重の理念に関する啓発その他の指導をすること。」とあるが、行う「おそれがある」者・「それを助長・誘発する」者及び関係者までを対象範囲とし、ひとくくりに「加害者」と決め付けている。

 第四十二条第一項第四号ロより、
「特定の者をイに掲げる者であるとして取材するに当たり、その者が取材を拒んでいるにもかかわらず、その者に対し、次のいずれかに該当する行為を継続的に又は反復して行い、その者の生活の平穏を著しく害すること。
(1)  つきまとい、待ち伏せし、進路に立ちふさがり、住居、勤務先、学校その他その通常所在する場所の付近において見張りをし、又はこれらの場所に押し掛けること。
(2)  電話をかけ、又はファクシミリ装置を用いて送信すること。 」とあるが、これでは政治によるメディア干渉の可能性があり、公正な報道ができなくなる可能性がある。さらに、国民の、政治に対する知る権利を阻害し、言論統制に繋がる可能性もある。

 また、人権委員会事務局を、法務省人権擁護局の代わりにおいたりなど、政府との独立性においても疑問が残る。

 ……などです。
 私も、「人権を守る」ことに関しては、大いに賛成です。しかし、メディア規制になりかねない法案には反対です。
 まぁ、法律の専門家でもない私の判断ですので、間違っていることも大いにありますが、今後とも、政治の動向は見守って生きたいですね。

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※1児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律改正案:
児童虐待や、(主にアジアなどの)子供への商業的性的搾取を禁止・取り締まる法律だが、改正案では、直接関係ない「絵やアニメ」を刑罰対象に入れる懸念があった。これにより、最悪には「(性的なシーンを含む)漫画やアニメの単純所持」までも刑罰の対象になることもあり、憲法の「表現の自由」に反する法律になりかけた。

※2メディア規制三法案:
「個人情報保護法案」「青少年有害社会環境対策基本法案」「人権擁護法案」のこと。
個人情報保護法案では、例えば内部告発ができなくなったり、メディアが取材するときに「利用目的を明確に示し、同意を得る」ことが必要になる。
青少年有害社会環境対策基本法案(以下、青環法案)は、暴力シーンや性的シーンを含む情報が、青少年に悪影響を与えるとして規制する法案。個人の価値観に法律が干渉することもあり、児ポ法改正案とともに、私たちに直接関わってくる悪法案。

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