■【主張】日中協議 報道規制はできぬ相談だ(産経)
http://www.sankei.co.jp/news/060111/morning/editoria.htm
 東シナ海のガス田開発などをめぐる日中局長級協議で、中国は日本で高まる「中国脅威論」にいらだちを示し、「日本のメディアはなぜ、中国のマイナス面ばかり報道するのか。日本側(政府)も中国のようにメディアを指導してほしい」と報道規制を求めた。
 「中国脅威論」は、民主党の前原誠司代表が昨年暮れに米国と中国を訪問した際、「中国の軍事力増強は現実的脅威だ」などと発言したことをきっかけに表面化し、活発に議論されるようになった。中国がいらだつ「日本のメディア」がどこを指したものか分からないが、前原発言をめぐって新聞各紙の社説は分かれている。
 「前原氏のやり方は稚拙に過ぎる」(朝日)、「党内論議を抜きに、外遊先で党代表として発言するのはいささか軽率だ」(毎日)。これに対し、「中国の軍事大国化は地域の安全保障を脅かす要因となっている」(読売)、「日本の国益を優先しようという前原路線を明確にした」(産経)と前原発言を評価する論調もある
 民主党内でも、前原氏の対中認識への意見は支持と批判に二分され、外遊後の党大会で賛否両論が交わされた。政府・与党内でも麻生太郎外相が「(中国の軍事力増強が)かなり脅威になりつつある」と発言したのに対し、山崎拓自民党元副総裁は「大変な対立や一層の緊張が生まれる」と批判するなど、さまざまな意見がある。
 中国は日本理解が足りないのではないか。言論の自由が許されていない共産党独裁国家の中国と違って、日本では報道規制はできない相談だ。中国は、自国の価値観を他国に押し付けることがいかに非現実的かを分かっていないわけではないだろうに。
 肝心のガス田問題で、中国は日本の共同開発案に難色を示し、次回協議で新提案を行うとした。その一方、中国はガス田と結ぶパイプラインを建設し、民間機を装った中国軍機に偵察飛行させるなどして、自国だけで開発を進めている。
 協議しながら開発を続けるのは、中川昭一・前経済産業相が指摘したように「右手で握手しながら左手で殴るようなこと」だ。中国の既成事実化を許さないために、日本は試掘の準備をさらに急ぐべきだ。
>中国は日本理解が足りないのではないか。言論の自由が許されていない共産党独裁国家の中国と違って、日本では報道規制はできない相談だ。中国は、自国の価値観を他国に押し付けることがいかに非現実的かを分かっていないわけではないだろうに。
まるで日本を属国扱いする中共にとっては、『理解する気持ち事態が無い』のかもしれませんが。

日中対話 政治家の姿を見たい(朝日)
http://www.asahi.com/paper/editorial20060111.html
 首脳や外相の会談ができないまま、関係悪化に歯止めがかからない日中間で、両政府の局長級による非公式協議が北京で開かれた。
 協議は4時間以上に及び、中国脅威論やメディア報道のありようにも触れて中身の濃い話し合いが行われた。
 日本側出席者は会談後、「そういうところから解きほぐしていかなければならない日中関係の現状がある」と語った。
 関係が悪化した現実を認め、まずは互いの懸念や注文を述べ合う。そんな率直な意見が交わされたことを歓迎したい。
 「日本国内では中国脅威論が非常に高まっているが、日本はどう見ているのか」。中国側からは、日本の対中観の基本を問いただすような質問が出された。

 日本側は「日本だけが一方的に悪いという主張は受け入れられない。中国としても反省すべき点があるのではないか」と切り返した。上海の日本総領事館員自殺問題についても「背後に遺憾な行為があった」と抗議した。
 この協議はもともと、東シナ海の天然ガス田の開発をめぐる日中協議を動かすため、実務的な立場から接点を探ろうというのが主要な目的だった。
 にもかかわらず、両国関係の基本にかかわる話し合いに多くの時間が割かれた。本来なら政治家同士が大局的な見地から交わすべき会話だったろう。

 さらに言えば、こうした率直な協議の土台にあるべきなのが相互信頼であり、友好関係を築きたいという双方の意思であるはずだ。そこは最高指導者、つまり日本の首相と中国の国家主席に確認しあってほしいところなのに、そのパイプが詰まってしまっている。
 経済交渉で丁々発止とやり合わなければならない実務者が大局論も担わざるを得ないところに、両国が立ち至ったいまの異常な状況が象徴されている。
 協議のなかで、日本のメディアが中国の否定的な面ばかりを報じると中国側が不満を示した。「良い報道がなされるよう中国はメディアを指導している。日本政府も指導すべきだ」と述べたという。

 日本の一部のメディアに、眉をひそめるような感情的な中国攻撃があるのは事実だ。もっと前向きな報道が増えるよう良好な関係にすべきだというなら大賛成だが、政府がメディアを「指導」することは民主国家では許されない。
 中国でも環境汚染などで当局を批判する報道が出てきた。自由な言論は民主主義の根幹であることを改めて指摘しておきたい。
 急成長する中国との間では、さまざまな面で摩擦が避けられない。アジアにおける主導権争いも絡んでくる。双方で高まりつつあるナショナリズムとどう折り合いをつけ、両国関係の土台を固めていくかは政治家の仕事だろう。
 このところ日中の交流に政治家の姿が見えないのは寂しい限りだ。官僚の協議も大事だが、一日も早く外相や首脳の対話を実現させてもらいたい。
>日本の一部のメディアに、眉をひそめるような感情的な中国攻撃があるのは事実だ
日本の一部メディアに、眉をひそめるような感情的な中国擁護があるのは事実ですが、何か?

>中国でも環境汚染などで当局を批判する報道が出てきた。自由な言論は民主主義の根幹であることを改めて指摘しておきたい
え? 中国って民主国家だったの?
はじめて聞きましたよ。

それにしても、さすがに日本への報道規制要求は、アサピーでも擁護しきれなかったようで。
なんとも歯切れの悪い社説となってます。

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